～夕焼けに染まる空～
        

 僕は心に鉛のように思い不安と共に彼女――カレンを待っている。

 早鐘のようになる心臓……落ち着け。

 落ち着けと脳は命令するが神経が言うことを聞いてくれない。

 彼女のことを思うと胸が張り裂けそうになる。

 腕時計は約束の５時３０分を刻む。もう彼女が来てもおかしくない。
 
 今の緊張で強張った顔はとてもじゃないがカレンに見せられるものではない……
　
「どうしたの、リョウタ？こんなところに呼び出して……？」

 突然のラインでの呼び出しで、訝しい顔をしたカレンが俺の目の前に現れた。
　
「あ……いや、その……」
　
 今になって言葉が出ない。俺は気まずい沈黙でその場を凌ぐことにした。

 気まずい沈黙。リョウタを前にしてカレンも言葉を出すこともなく、夕暮れに染まる屋上で佇む。

 奮い立て。声を出せ。彼女に伝えるんだ……俺の想い。


「あ、あの……カレン！！」

「……どうしたの？声が上ずってるよ？」

「なんだ……その……お、お前に言いたいことがあるんだ」

伝えろ……

全てをぶちまけろ。

「カレン！！」

……

…………

「えっ？！」

目を覚ますと、朝だった。


「……学校行くか」